土木系(都市系)
土木系というと3Kというイメージがあります。でも,それは昔の話です。「快適で安全な」都市環境造りを行う最新の分野です。確かに昔は,ダムとか橋などの巨大構造物を作るところだという感じはありましたが,今ではかなり変わっています。日々の生活を支えるライフラインのグランドデザインを担当している分野という点では,変わっていませんが!
都市環境に対するスタンスとしては,建築系が快適さを求めるデザインを行うのに対して,土木系は「安全な」生活を最優先します。便利さが安全性を損なうのであれば,本末転倒だというスタンスです。基本的には,高校の物理(力学)が学びの中心となりますが,水環境など化学や生物の知識も生かすことが出来る分野です。最大の特色は,就職先において公務員が多いことです。日本は地震や台風などの天災に襲われる危険が多い国ですが,これまで揺らぐことなく成長してくることが出来たのは,土木系が支えてきたからです。
名古屋大学 環境土木・建築学科
名古屋工業大学 社会工学科 環境都市分野
岐阜大学 社会基盤工学科
豊橋技術科学大学 建築・都市システム学専攻
愛知工業大学 土木工学科
大同大学 建築学科 土木・環境専攻
中部大学 都市建設工学科
名城大学 社会基盤デザイン工学科
名城大学 環境創造学科
【主な就職先】
愛知県,名古屋市,国土交通省,厚生労働省
熊谷組,奥村組,清水建設,大成建設
NEXCO 中日本,四国電力,NTT 西日本
玉野総合コンサルタント,JR東海コンサルタンツ,パシフィックコンサルタンツ
【one point】
土木という言い方は,欧米ではしません。Civil Engineering と言います。神戸大学の市民工学科はそのまま日本語にしたものです。元々は,軍事に相対する言葉として「Civil 民事・民間」をつけたという話があります。現在では,特に民間と言うだけの意味ではなく,学問分野の1つと位置づけられています。でも,Civilizationは「文明化」ということを意味するので,気持ちとしては「文明工学」ではないかと(管理人は)考えています。工学部の中でも,機械・電気と同じ基幹分野であり,とても重要で面白い分野だと言えます。
建築系
建築は,ヒューマンスケール(個人の家や家具)からドーム球場くらいまでの様々な建築物を取り扱います。工学部の中で最も役に立つ資格「第1級建築士」の取得が可能な学科です。(もちろん,実務経験を2年積んだ後でないと受験できません。) 建築では,構造設計(丈夫な家造りのための設計),設備設計(電気・ガス・水道・換気などの設計),意匠設計(芸術性),都市計画(街のデザイン 快適さだけでなく景観も考えます),建築史(建築の歴史 温故知新ですね),不動産学について学んでいきます。
大学選びで大切なのは,「構造系」と「意匠系」のバランスです。大学によって,ウェイトの置き方が大きく違います。名古屋工業大学と大同大学は「意匠系」にもかなり力を入れていますが,他の大学は「構造系」に大きく片寄っています。どちらを選ぶかは,受験生の好みになりますが,大学によってだいぶ感じが違うと言うことはよく覚えておいてください。少なくとも,意匠系onlyと言うところはあまり勧められません。建築士の合格率がかなり低いですから・・(このTec12のメンバーにはそういった大学はありませんから,ご心配なく!)
名古屋大学 環境土木・建築学科
名古屋工業大学 社会工学科 建築・デザイン分野
三重大学 建築学科
豊橋技術科学大学 建築・都市システム学
愛知工業大学 建築学科
大同大学 建築学科 建築専攻
大同大学 建築学科 インテリアデザイン専攻
中部大学 建築学科
名城大学 建築学科
【主な就職先】
大林組,鹿島建設,大成建設,清水建設
大和ハウス,積水ハウス,トヨタホーム,三井不動産,住友林業
中部電力,東邦ガス,JR東海,リンナイ,INAX
中日設計,安井建築設計事務所,日建設計,久米設計
【one point】
各大学を見てみると,「建築学科」という名称は使われていても「建築工学科」という名称はほとんど見当たりません。構造や材料のような工学的な側面だけを見ているわけではなく,意匠(デザイン,芸術性)や建築の歴史まで研究対象としているからです。建築学は,工学系の中でも総合的な分野としての色彩が強いからです。(そのてんでも,応用化学科も工学は付けません。こちらは,多少意味が違っていて,化学工学という学問分野があるので,それだけではないという意味です。)